あなたが携帯ショップの店員だとして…。

んあ? ワシは孫とLINEがしたいんじゃがスマホは難しくてのぉ…何がいいんじゃ?

ウチ、自撮りがキレイに撮れて5万円以下のスマホ欲しい。
と、いろいろな人が来ます。来店するお客さん全員にiPhone12proを勧めてたらダメで、それぞれ適切な商品をおすすめしないといけません。HPでそれができるのがLPOツールという奴なんです。
今回は私が会社員時代に、クライアントへLPOツールとランディングページの活用を提案し、サイトからの申し込み率を平均値の10倍にした事例についてお話ししたいと思います。平均値の10倍の申し込み率を出すという事は脅威的な事です。
LPOツールで、ホームページに訪問しているユーザーの属性を見える化し、その属性専用のセールストークを縦長のランディングページで展開して、一気に申し込みまで刈り取るという事をしました。
ポイント
- 月額30万円もする高性能LPOツールを使った施策。
- 見込み客が何を探しているのかをツールで把握し、そのお客さん専用の縦長ページに誘導。
- 通常のTOP経由の10倍のお申し込み率が出ました。
事例実施前の課題
お客様からの依頼「売れるシーズンが近ずいているので、キャンペーンを実施したい。いいキャンペーンを考えて欲しい。」
- とあるサービスが、たくさん売れるシーズンがもうすぐ到来!
- シーズンに合わせてキャンペーンをしたい
- 昨年のシーズン中に学生専用ページを作成したらCVRは非常に良く、通常の4倍だった。
たくさん売れるシーズンが近づいているので何かキャンペーンしないといけないという事が私のミッションでした。ただ単に普通のキャンペーンページを作るよりは、もっと売るための仕組みをどうすべきかと考えて出したアイデアが「ホームページをカリスマ店員にできないだろうか?」という事でした。
ホームページをカリスマ店員にできないだろうか?
カリスマ店員は瞬時に見込み顧客のニーズ読み取り、最適なセールストークを展開する
例えば洋服屋の店員を思い浮かべていただきたいのです。彼らは瞬時に顧客のニーズを把握し、その顧客に最適なセールストークを展開します。
<例えば>
- お客は「Tシャツ」を探している→「Tシャツでしたら今年は、これが人気でおすすめですよ!」と勧める
- お客は「Tシャツ」を探していて太っている→「Tシャツでしたらこれがおすすめです。しかもお腹が気になる人でもこれなら隠せちゃうんですよ」
カリスマ店員は、顧客の言葉だけではなく、外見、表情、視線や天気など様々な「条件」から顧客のニーズを読み取って最適な「セールストーク」で売り込みをします。今回のキャンペーンで私が実施したのは、コンテンツが個々のユーザーに自動的に最適化され、ニーズに応じたセールストークを展開するという仕組みでした。
これを実現するには、ホームページ上で、ユーザーの「条件」からニーズを読み取って、最適な「アクション」を実行する必要があります。どんな方法でそれが実現できるでしょうか?
ユーザーニーズを把握するには?
検索キーワードからニーズを読み取ってLPで刈り取るのがセオリーだが…
ホームページの場合、検索キーワードからユーザーニーズを読み取るという事が一般的で最もオーソドックスな手法ではないでしょうか。検索キーワードからユーザーが知りたがっている事を予想し、ランディングページにその答えを書いてあげるのです。
しかし、この一般的な手法が使えない場合があるのをご存知でしょうか?検索キーワードからニーズが読めない場合が実は多いのです。
アマゾンというサイトで一番CVしているキーワードはおそらく「アマゾン」、このワードからユーザーが何を欲しがっているか分かるだろうか?
アマゾンで一番検索され、CVしているキーワードは「アマゾン」か「amazon」でしょう。彼らが欲しい商品は本かもしれませんしDVDかもしれません家電製品か食品かもしれません。
しかし、このワードから何が欲しいのか全く分からないのです。一番CVしているキーワードなのにニーズが分からないので最適化できない。これは大きな機会損失ではないでしょうか。このようにキーワードからユーザーニーズを読み取れないケースがあるのです。
LPOツールでユーザーニーズを読み取り最適化
施策説明の前に、LPOツールって何?
LPOツールは元々ランディングページを最適化するために作られたツールで、いろいろな機能を持っています。簡単に言いますとLPOツールはユーザーの条件を読み取って、設定してあるアクションを起こすという事が出来ます。例えば下記のような使い方が可能です。
- ユーザーの回線を読み取って最適なクリエイティブ(画像やコンテンツ)を出す:ソフトバンクユーザーにはお父さん犬の画像を表示、auユーザーには松岡修造の写真を表示など。
- ユーザーがアクセスしてきたエリアを読み取って最適なクリエイティブを出す:渋谷からのアクセスには渋谷のおいしいレストラン情報を出す、名古屋からのアクセスには名古屋飯ランキングのページへ誘導など。
- ユーザーの検索キーワードに応じて最適なクリエイティブを出す:「ダイエット」で検索してきた人には糖質制限ダイエットのクリエイティブを出す、「iPhone」で検索してきたユーザーにはiPhoneページへ誘導など。
というように「条件」と「アクション」を設定ができます。また、実施する個々のアクションにはABテストや多変量解析テストを実施できるので「条件」と「アクション」のPDCAを回しCVRを高めていく事が可能です。
これらはLPOツールの代表的な機能で、他にも様々な条件やアクションが設定できます。 私が考えていた事は、LPOツールの条件からユーザーニーズを読み取り、最適なページへ誘導するというアクションを実施したらCVRが高まるのではないかという事でした。
実施した施策内容
回線とエリアを掛け合わせてユーザーA、B、C、Dを作成してみると、分かってきた事…
LPOツールを使えばサイトに訪問しているユーザーの読み取れないニーズがわかるかも?と考えました。WEB制作のセオリーでは企画段階で検索キーワードを予想し、それぞれの検索キーワードに対応するページを作っていきます。
しかし、私はまず最初にLPOツールでどういったユーザー層を作れるかを考えました。詳細は話せませんが、条件「回線とエリア」を使ってユーザーA、B、C、Dという4つのユーザー像を作ったのです。 作ったユーザー像の属性や心理、検討度などを深堀していくと「ユーザーAは学生である」、「ユーザーBは東京から引っ越しをする」や、「ユーザーCは競合E、F、Gを比較検討する可能性がある」など、いろいろとヒントが出てきました。
それらのヒントを活用し、ユーザーA、B、C、D専用の刈り取り用ページを4枚設計しました。そして刈り取り用ページでは、それぞれのユーザーに最適なセールストークを展開。そのユーザーのハートをガッチリつかむベネフィットを強調して、思わず問い合わせしたくなるようなページを作りました。
だいたいこんな雰囲気の施策でした
内容は全然違いますが、こんな雰囲気の施策を実行しました。
- 条件「ソフトバンクユーザーの訪問」:アクション「ソフトバンクよりauのほうがいいでっせ、のりかえまへんかページが出る」
- 条件「東京からの訪問」:アクション「そのうち引っ越しするんでっしゃろ?わかってまんがな、でしたらうちの商品は絶対買いでっせページが出る」
- 条件「学生と特定できる条件」:アクション「学生さんでっか?今なら学割やってまっせ、勉強しますさかい、ちょっとよってきなはれページが出る」
結果
CVRが平均の10倍に!!
結果は平均CVRの10倍を超えました。私がペーペーでしたので集客には口出し出来なかったため訪問数はほとんど同じですが、それぞれのユーザーを自動で最適化する専用ページで刈り取る事で平均の10倍を実現出来ました。これにSEOやリスティングなどの集客施策を連携できれば効果は更に高まったはずです。 LPOツールで特定ユーザーが訪れたページを最適化し、その人が買いたくなるトークを展開すれば、驚異的なCVRが出るという事がわかりました。
とはいえ課題たくさんありました
施策の目標数値はちゃんと設定し、PDCAを回さないと意味がない
そもそもCV獲得はこの施策の真の目標ではありませんでした。数値目標も無かったというか、各チャネルでの獲得CV数を追っていなかったので施策がどれだけCV獲得に貢献したかなどの評価がしっかりできませんでした。 (この施策の目標は「キャンペーンをする」であって「CV獲得」では無いんですよね…)なので、なんとなく凄い事をした!と私だけが満足して終わってしまいました。クライアントの担当者の方もCVRが高かった事やCV数は把握していないと思います。またキャンペーンは一過性の物で終わっており、仮説検証のサイクルを回せませんでした。
もっとガツガツやりたかったんですがいろいろあって無理でした。やはり偉い人の強い意思と強制力のあるバックアップが無いとWEB活用はうまく行かないのだと思います。 という訳で、私の場合は様々な要因のためCV獲得という結果は出ましたが、自己満足で終わりました。ですが、こういった施策の威力はすごいのでぜひ皆様もご検討ください。