社長力が試される? WEBコンサルティングで問い合わせを4倍にした理由とは?

ざっくり言うと
  1. 社長がリーダーシップをとり即断即決、改善施策を強制的に実施した。
  2. 魔法のWEBコンサルティングはないが、正しいダイエット法や効率的な受験勉強法はあるのと同じく、ピンポイントで課題を改善する施策を実施

WEBコンサルティングが失敗しやすいケース

  • 社員に丸投げケース:コンサルを依頼しておいて面倒だから「あとはよろしく!」と社員に丸投げ。最後の最後に口出し現場を荒らす。「聞いてないぞ! どうなってるんだ!(だいたい説明している)」
  • 魔法を求める:勉強しないで東大合格する裏技や、辛い食事制限や面倒な運動なしで30キロ痩せる方法、「ほら? あるでしょ? ぱぱっとやっちゃってよ!」など。
  • 丸投げで成果出るんでしょ?:アクセス解析や改善施策には毎月お金がかかるし、競合比較をして自社のダメな所が明るみになるなど精神的なダメージも大きく、「あ!勉強やダイエットみたいに自分でやんないとダメヤツ! 丸投げで金だけ払えば自動的に良くなるんじゃなかったの!?」で結果が出ないケース。(契約前からさんざん説明しているのに)

「食事制限・運動なしで-30キロダイエット」「勉強しないで東大合格」的な魔法は使えません。「ダイエットに必要な正しい食事制限や運動方法」「大学合格のための1日8時間の効果的な勉強方法」的な、お客様の痛みを伴う努力を、黒子のようなサポートは可能です。

クライアントデータ

S社は、ソフトウェを開発やECサイトを制作するIT企業。当時の私はBtoB専門のホームページ制作会社のWEBコンサルタントをしており、その時のお客様です。

S社

要望HPを活用した営業方法を実践したい
規模社員数:100名
ビジネス形態BtoB
事業内容ソフトウェア開発・システム運用(ECサイトシステム、POSレジシステム)

S社は、今でいうShopifyのようなECシステムや、iPadを使ったPOSレジシステムを開発・販売していました。

サイトデータ (ECサイト、POSレジ、集客用ブログ)

サイト規模・サイトA:50ページ前後
・サイトB:50ページ前後
・企業ブログ

提供サービス(WEBコンサルティング)

結果CV数:50前後 / 月 →3ヶ月で100超 / 月(2倍)→6ヶ月で200超 / 月(4倍)
期間半年
担当業務サイト改善、クリエイティブ作成、企画、CMS構築(MT)、コーディング、リスティング運用、SEO、アクセス解析、改善提案、リニューアルのディレクション
※リニューアルサイトのデザイン以外全て
チーム編成外部:WEBコンサルタント(私)、営業マン
先方:社長、デザイナー、営業マン

状況とお困りごと

S社の課題「テレアポ主体の営業から脱却したい」

テレアポ主体の営業から、ホームページの問い合わせを増やしサイトを使った見込み顧客獲得型営業(インバウンドマーケティング)へシフトしたいと考えていた。

  • 🙅 テレアポ営業:嫌われる・会社の評判も悪くなる。検索でも「S社 × テレアポ、S社 × うざい、S社 × 怪しい」などイメージの悪い検索キーワードが出るケースも…。
  • 🙆 HPを使った待ちの営業:お客様の好きなタイミングで怪しい営業マンにしつこく売り込まれることなくジックリ比較検討できる。

S社内で特命チームを結成、すでに半年間サイト改善をしていたが明確な成果は出ていなかった

「S社でもインバウンドマーケティングを実践したい」と社長が音頭を取り、WEBを積極的に活用しようという状況に。専任のWebデザイナーまで任命しホームページ活用プロジェクトを始動。しかし、あまりうまく行っていないようでした。サイトデザインも一見すると非常にきれいで課題など無いように見えました…。

S社特命チームは半年がんばったが成果は出なかった

  • S社の社長とwebデザイナーの2名で、積極的にwebサイトを運用していたが問い合わせ件数は変化がなかった。
  • 一見するとサイトは非常に良くできており、デザインもきれいだった。
  • SEO、広告、LP、などwebマーケティングの定石は実施していたが問い合わせ件数は増えなかった。

声がかかった

当時は飛び込み営業や電話営業などの押せ押せ型営業(アウトバウンド営業)に対して、ホームページを使った待ちの営業スタイル「インバウンドマーケティング」、という言葉がアメリカから輸入されたころでした。今ではあまり使われなくなった言葉ですが、よく使われるコンテンツマーケティングと、ほぼ同じ意味です。我々はそれを実践している数少ない企業でした。

  1. 私は、日本のシリコンバレー五反田のIT企業でコンサル(サラリーマン)をしていた
  2. 社内には、ブログ執筆専門の営業マンが何人かおり、ブログ・SNS集客に成功していた
  3. 私もWEBコンサルタントとして、LPOツール・アクセス解析・広告運用・サイト改善の知見があったのでサービスサイトの改善や顧客HPの改善をやっていた
  4. 「S社でもインバウンドマーケティングを実践したい」ということで声がかかった
  5. S社デザイナーもいるためにサイト改善は自分達で可能。コンサルだけ提供して欲しいとのご要望。

改善1.現場の声を聞きHPに反映する

顧客需要とHPの訴求内容のズレを知るために、現場の営業マンからヒアリングをしました。

現場の声を聞く

  • どんな見込み客がいるのか? 需要・知りたいこと・検索キーワードは?
  • 見込み客が欲しい物は?
  • サイトと見込み客の知りたい・欲しいとのズレを整理

現場の営業マンとのミーティングを設定しヒアリングを実施。ユーザー像やニーズ、ユーザーが望むものやサイトの情報などを比較しギャップが無いかを洗い出しました。

改善2.明確な目標設定

明確な目標を設定

  • 数値目標は必ず設定しないと、ゴールが曖昧になる
  • 数値目標を決めると、逆算して必要なアクセス数やお問い合わせ数などの各指標が出せる

目標はホームページ経由の問い合わせ件数を設定。その目標を達成するために、どれだけの訪問数が必要か?フォームへ到達させるのはその何%か?そうなると何CV獲得できるるか?など詳細な数字を逆算し、何をすべきか戦略戦術を立案しました。

改善3.徹底した調査分析

自社分析(商品・サイト)

アクセス解析で見える化

  • アクセス解析レポートを作成して課題の抽出
  • 何が課題になっているかが数字でわかるレポート

Google Analyticsのデータから課題抽出のためのレポートを作成し、サイトの課題を数字で客観的に把握できるようにしました。

webサイトのマーケティング活用領域調査

  • マーケティング視点で各競合の出来ている事、出来てない事を比較

ホームページの掲載コンテンツ・機能調査

  • コンテンツ・機能を比較する
  • 具体物の一覧把握

顧客分析

ユーザー行動別サービス充実度の比較

  • ユーザー行動順で比較
  • ダイアグラムで見える化

競合分析

ライバルの良いところを取り入れました。コンテンツや顧客獲得までのシナリオなど、調査結果から出てきた他サイトの良い部分を取り入れ改善しました。

競合ポジショニング

  • 俯瞰的・総合的に比較

競合分析レポートの作成

  • 競合分析結果をまとめてレポートを作成しました。

営業の流れを整理

カスタマージャーニーマップ(ゴールまでの流れ)

  • カスタマージャーニーを見える化し、ユーザーがサイトを発見し購入、さらにファン化するまでの過程で、Webサイトに必要な機能や、それがあるかないか出来ているか?などを洗い出しました。

改善4.情報発信を強化

企業ブログはありましたが、ターゲットを設定し、そのターゲット向けにコンテンツを定期的に配信するという事が出来ていませんでした。ブログの方向性や記事のアイデアだしなどをミーティングしました。専任のブログ担当なども任命し、配信スケジュールも確定させました。その結果はてなブックマークのホットエントリーに入る記事も出てくるようになりました。 (私が関わってから1年経っていますが、A社はインバウンドマーケティングの実践方法を完全に物にしたようで、自社メディアをいくつも作ってバズらせているようです。webリニューアルに比べ、サイト改善は社内に新しい文化を作ったり、ノウハウを提供するというメリットもあります。一過性のリニューアルと大きく違う点ですね。)

改善5.駄目な部分の改善

駄目な部分の改善

  • 重要度の高い箇所のデザイン改善(ABテストで勘とフィーリングのデザイン制作から脱却)

使いやすさの改善や、ユーザーに直感的に商品のメリットを訴求するために重要度の高い部分からデザインを改修しました。 ただし勘や経験フィーリングに頼らないためにデザイン改修した場所はABテストを実施するようにしていました。デザイン改善に意味があったのかどうかをしっかりテストするためです。ABテストの結果はノウハウとして蓄積していけるため、このプロジェクト以外のデザインの質も向上させる事ができます。

改善6.見込み客育成の強化

サイトに訪問しCVしなければ永遠に接点を失う・・・では非常にもったいないので、魅力的な問い合わせ方法を複数設定する。購入に至らなかったとしても見込み顧客と接点を持ち続け、検討度合いを前のめりにしていく施策を打つという事をしました。

結果

問い合わせは3ヶ月で2倍! 半年後には4倍に!

調査や資料作成は非常に大変でしたが、毎月の定例で私が課題の抽出と改善提案をし、その場で取締役の方が改善提案の実施を判断、GOが出た施策は即実行、翌月その施策の成果をチェックし、再度改善を実施する、というようにPDCAが高速で回りサイトの効果はすぐに出ました。

3ヶ月で当初の目標を達成、目標が割と簡単に達成できてしまったので軌道修正して4倍にしましたが、それも半年後には達成できました。

HP集客では社長力が試される

社長が強い意志を持ってWeb活用を進めたからです。私がコンサルしても大成功する企業と、何ヶ月たっても結果が出ない企業の2パターンに別れます。 結果の出ない企業は下記のようなケースが多いです。

  • 社長不在・Web担当者がんばる:がんばって社内調整してもうまくいかない(決定権が無いので素早く動けない、邪魔させる、上の了解が得られないので素早く動けない)ので改善施策を実施できない⇒PDCAの「plan」から進まないケースです。このケースがとても多い。
  • 社長不在・Web担当者やる気ない:サイトで効果が出たところで担当者の給料が上がるわけなはないので真剣にならない ⇒ なので社長は丸投げせず中心になって進めた方が良いです。

Webコンサルタントの永江一石さんが的確な指摘をしています。

いちばん仕事をしたくない相手は、中小企業なのに社長がなにもしないで担当者に丸投げするケース

補足になりますが、いちばん仕事をしたくない相手は、中小企業なのに社長がなにもしないで担当者に丸投げするケース。こういう場合ははっきりとお断りすることにしています。中小企業の場合、多くは勤務条件や査定制度がしっかりできていません。加えて担当者がそれほど優秀で無い場合、最悪の事態となります。担当者にとっては一所懸命にやっても仕事が増えるばかりになり、いいことがなにも無くなるからです。仮に成功して売り上げがばんばん増えたところで、本人になにもメリットが無ければ頑張るわけ無い。したがって手を抜きまくります。これが人間。人間だもの、当たり前じゃん、相田みつを。

出典:言っちゃうよ! 全然ダメな企業サイトにしないための、わたし的な条件

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